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スポーツ障害

スポーツ障害は、Over use syndrome(使い過ぎ症候群)とも呼ばれて、スポーツの種目の数だけ多種多様な障害があります。

例えば、野球肩(腱板障害)、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)、野球肘やゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)、ランナーズ・ニー(腸脛靭帯炎)、ジャンパーズ・ニー(膝蓋靭帯炎)、シン・スプリント(脛骨の疲労性骨膜炎)、アキレス腱炎など、多種多様にあります。

これらは、直接的な外力が局所に加わったために起きる外傷(打撲、肉離れ、捻挫、脱臼、骨折)と違い、過度な繰り返しの動作による局所へのストレスのために起きた障害です。

しかし、そのスポーツや競技種目をしている皆が、必ずスポーツ障害を起こすとは限りません。同じ競技種目で、同じ練習をしているのに、障害を起こす者と起こさない者がいるという事実があります。

それはなぜでしょう。それは、つまり、その動作をしている時に身体のブレが起きて、身体の中心が動作の重心からはずれてしまっているからです。する と、運動の軸がずれて、運動の最中の筋肉━骨━関節の絶妙なコンビネーションが崩れてしまい、筋肉や骨、関節の局所にストレスが加わり、障害を起こしてし まうと、私は考えています。

例えば、「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」の発生機序ですが、私の考えは次の通りです。

  1. 何らかの原因による上腕三頭筋(とくに外側頭)のアンバランス(弱化)
  2. 上腕三頭筋の弱化による肘頭の関節包内での尺側偏位
  3. 尺側偏位による肘角のわずかな拡大
  4. 肘角の拡大による手首や指の伸筋群の筋長の短縮
  5. 筋長が短縮している状態で、ラケットを握る動作(この肢位は指の屈筋群だけでなく、手首や指の伸筋群も収縮している)を持続して反復していると、上腕骨外側上顆に付着している手首や指の伸筋群の腱に強い牽引力のストレスがかかる→腱の炎症(上腕骨外側上顆炎)

以上のようにして起こると考えられるテニス肘(上腕骨外側上顆炎)には、疼痛部位に対して対症的な処置を施し、発生機序の筋肉━骨━関節のアンバランスに対して原因となる心・体の働きのアンバランスを改善する処置を施します。

外反母趾

外反母趾は、足のアーチの破綻の結果です。

人の足は、骨・筋肉・靭帯によってアーチ状の形をしています。そのアーチの大まかな形は、踵と母趾・小趾の付け根の三点を結んでできた三角形が、風を受けて膨らんでいるヨットの帆の様に見えます。

そして、そのアーチは縦アーチ(外側内側)と横アーチ(前足部中足部後足部)があります。

体重(赤い破線の矢印)が加わると、距骨が内側に捻じれながら降下して(回内)、アーチ全体が低くなります。それを、靭帯や筋肉(特に長短腓骨筋と後脛骨筋)の緊張によって、アーチが低くなりすぎないように下支えしています。
ところが、何らかの原因で筋肉が弱化するとアーチを下支えする働きが弱くなり、靭帯が間延びして、距骨が過剰に回内します。

さらに、アーチ全体の低下が恒常的になり、結果として外反母趾が起こります。この時、人為的にアーチを下支えして外反母趾を改善するために、適切な靴の中敷きが必要となります。

また、距骨の過剰な回内により、脛骨が内側に捻られ(内旋)、膝にストレスが加わって、膝関節障害(痛み、腫れ、水が溜まる、曲げ伸ばしができないなど)を起こします。

それから、脛骨の内旋は大腿骨の内旋も引き起こして、同側の骨盤(寛骨)を前方に回旋させます。その際、同側の梨状筋や大殿筋を伸張させて、弱化を引き起こします。その影響で、仙骨や腰椎が歪んで,腰痛・坐骨神経痛や股関節の痛みを引き起こす可能性があります。

さらに、距骨の歪みは同側の大腰筋の弱化を引き起こして、腰椎の側彎や椎間板障害を起こす可能性があります。

また、腰や骨盤のみならず、同側の顎を開ける筋肉(外側翼突筋)の緊張を引き起こして、顎関節症を招く可能性があります。この場合、顎や歯だけを治療していても、顎関節症は改善しません。

住宅で言えば、基礎がしっかりしていないと、家の立て付けが悪くなり、ドアや窓の開け閉めが悪くなったり、つなぎ目に隙間ができて、隙間風や雨漏りが起こったりします。

つまり、人間の土台というべき足のアーチに異常が起きると、足腰のみならず、首や顎にも障害が起きてきます。

すでに、外反母趾がある方で腰や首、もしくは顎に問題がある場合は、その部分の治療だけでなく、足のアーチを改善するために靴の中敷きが必要となります。

顎関節症

一般的には、顎関節症は側頭骨の下顎窩(凹部)と下顎骨の顆頭(凸部)との位置の異常や開口・閉口の回転━滑走運動時の関節円板と顆頭の動きの非協調性により起こります。

症状は、口が開かない、顎が鳴る、顎が痛いなど顎関節周囲に留まらず、頭痛、肩こり、首や背中の痛み、腕の痛みやしびれ、腰痛、脚の痛みやしびれ、果ては、自律神経失調やうつ傾向にまで至ります。

しかし、顎関節症は顎への直接的な外力や外傷、または歯牙の損失や入れ歯、ブリッジの不具合がない限りは、心・体の働きのアンバランスによって起きる筋肉のアンバランスや脊柱・骨盤の歪み、及び足のアーチの異常の結果だと、私は考えています。

ところで、顎関節は側頭骨と下顎骨、及び両骨の間にある関節円板で構成されてい ますが、開口・閉口時に動く下顎骨は靭帯や筋肉によって側頭骨を含む頭蓋骨から、ぶら下がっている構造になっています。そして、閉口時には下顎骨から頭蓋 骨に付着している側頭筋・咬筋・内側翼突筋が働き、開口時には下顎骨から頭蓋骨に付着している外側翼突筋や下顎骨から舌骨を介して胸骨・肩甲骨に付着して いる舌骨筋群が働きます。

また、下顎骨をぶら下げている頭蓋骨は頚椎の上に乗っています。さらに、頚椎を含む脊柱は骨盤の上に乗っていて、その骨盤は下肢の骨に乗っています。そして、頭蓋骨〜脊柱〜骨盤〜下肢の間には関節があり、それは靭帯で支持されて、筋肉で動きとバランスがとられています。

そこで、頭部と体幹の間で筋肉によって宙吊りになっている下顎骨と舌骨は身体のバランサー、もしくはジャイロ・システム、つまり姿勢制御装置として 働きます。つまり、筋肉のアンバランスや脊柱・骨盤の歪み、及び足のアーチの異常などにより姿勢が悪くなって、肩の高さに左右差が出たり頭が傾いたりする と、下顎骨と舌骨は、その状態に対応した位置に偏位して、バランスをとるようになります。
したがって、当治療室では顎関節症の原因が顎関節の構造そのもにあるのか、心・体の働きのアンバランスにあるのかを見極めて、適切な治療を施します。

巣鴨オステオパシー治療室

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